大判例

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大阪地方裁判所 昭和33年(ワ)3601号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は、A家屋を被告甲に賃貸していたところ、同被告は右家屋の一階店舗部分を訴外乙に、二階全部を被告丙に無断に転貸したから、被告甲に対し昭和三三年五月二九日右無断転貸を理由に賃貸借契約を解除したものであると主張し、被告甲に対しA家屋、被告丙に対しその二階全部の各明渡を訴求した事案につき、裁判所は、被告丙の本件賃借家屋の使用が、賃借人の賃借権に基づく家屋使用の範囲内にあるとする事実を認定して、同被告に対する転貸の成立を否定し、訴外乙に対する転貸を認めて、原告主張の解除の成立を認め、しかし、被告丙のA家屋に対する占有は独立のものであるとして、同被告に対するA家屋二階全部の明渡請求を認容し、要旨次のとおり判示した。

「被告甲は妻Bと事実上離婚し別居しているが、同人との間に出生した娘が適令期にあるためその結婚後に離婚の届出をすることとし、ために、戸籍上は依然、右Bが妻として登載されていること、同被告は現在では訴外Cと内縁関係を結び本件家屋で同棲していること及び被告丙は右Cの実父であるが妻Dと死別し老令であるので、被告甲が引取り本件家屋に同居せしめて扶養していることが認められる。以上の事実によると、被告甲が被告丙を本件家屋に同居せしめていることは、なお被告甲の賃借権に基づく本件家屋の使用収益の範囲内であると認めるのが相当であつて、被告甲が本件家屋の一部を被告丙に転貸したものとは認めえない。」

「賃借人の家族は特段の事情のない限り賃借人の占有補助者で賃借家屋につき独立の占有を有するものでないと解するのが相当であるけれども、本件においては、(一)被告甲と被告丙との身分関係が前認定のとおりであること、(二)被告丙がメリヤス編立業を営み大阪市東淀川区十三方面に通勤していた事実及び(三)契約解除の内容証明郵便が被告丙に配達されるまで本件家屋には被告丙の表札も掲げられていた事実を綜合して考えると、被告丙は本件家屋について被告甲の単なる占有補助者でなく独立して占有していをものと認めるのが相当である。

そうして、原告と被告甲間の賃貸借が適法に解除せられ、他に被告丙において本件家屋を占有すべき正権原の主張立証がないから、被告丙もまた原告に対し本件家屋を明渡す義務あるものといわねばならない。」

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